三部作を一年かけて ゆっくり観た。今日最後の「蜂蜜」を観終ったところだ。
映画には色々なものがあると改めて思わされた。ハリウッドを代表とするSFXやCGで作り上げる映画も楽しいし、
本作のように実に静謐な映画も楽しい。それだけのバラエティを抱えることが出来る映画という芸術の奥の深さには
感心するしかない。
本作はタルコフスキーの系統に分類されて語られるに違いあるまい。実際、長廻しであるとか、風景の切り取り方、風の使い方などはタルコフスキーそっくりと言っても良い。
但し、味わいの違いもある。おそらく一番の違いはキリスト教とイスラム教にあると思われる。本作にはきちんとイスラム教が書き込まれており、それがある種の奇妙な味わいになっている。
この三部作の後に監督がどのような映画を創っていくのかは楽しみだ。既にタルコフスキーをいわば「夭折」にも近い形で失った僕らにとって実に楽しみな監督だと言える。